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【コラム】コロナ禍でマカオのカジノもニューノーマルの営業に(WEB版)/勝部悠人
投稿日 2020年8月24日 09:30:46 (実践・新台)
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行によって、マカオのカジノ業界にも甚大な影響が生じている。連載第1回で取り上げたように、防疫対策の一環としてマカオの全てのカジノ施設が15日間(2月5~19日)にわたって休業するという前代未聞の事態となった。また、1月下旬から現在に至るまで入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられており、3月25日からは水際対策がボーダー閉鎖に近いレベルにまで強化された中、インバウンド旅客数は激減。結果、今年1~7月累計のカジノ売上(Gross Gaming Revenue)は前年同時期から79.8%減の350.64億マカオパタカ(約4622億円)という低水準で推移している。
「新型コロナウイルス核酸検査陰性証明書」の提示などカジノ営業はニューノーマルへ
マカオとマカオに隣接する中国広東省ではこのところ状況が落ち着いていることから(輸入性症例以外の域内感染確認ゼロが続く状況)、7月15日からマカオと広東省の間の往来における水際対策が一部緩和(14日間の隔離検疫の撤廃、諸条件有り)されたが、観光目的のマカオ渡航許可の発出再開には至っておらず、大きなインパクトを与えるものではない。現時点で具体的な入境制限緩和時期の目途は示されておらず、しばらくの間はインバウンド旅客を見込めない状態、つまりカジノ業界にとって試練の日々が続く見通しだ。
マカオのカジノといえば、ドレスコードも特になく、入場口でのチェックといえば金属探知機のゲートをくぐり、場合によってはバッグの中を確認される程度のもので、入場下限年齢の21歳未満にでも見えない限りほぼ身分証のチェックもなしというオープンなもので知られる。しかしながら、もはやこれは過去のイメージだ。コロナ禍において、マカオのカジノも徹底した防疫措置を講じた上での、いわゆる「ニューノーマル」営業となっている。
マカオ政府のカジノ規制部門DICJと衛生局は2月20日からカジノが営業再開するにあたり、カジノ運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することを目的としたガイドラインを策定し、遵守を求めた。
具体的には、カジノ施設内における交差あるいは接触感染リスク軽減を図るため、ゲーミングテーブル間の一定の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルの1台の同時着席可能人数は3~4人)、スロットマシンは1台または2台おきの稼動と定められているほか、チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。
また、ゲストは入場時にマスクの着用、検温、身分証と有効な健康コード(直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先をスマホの特設サイトで入力して生成されるもの)の提示が義務付けられている。7月15日からは新型コロナウイルス核酸検査陰性証明書(マカオまたは広東省の認可施設が発出した有効期間内のものに限る)の提示も条件に加わった。マスクは入場口でのチェック時に身分証の顔写真と照合するため一時外す必要があるが、カジノフロアに滞在中は常時着用が求められ、違反した場合は退場させられる。
カジノ従業員についても出勤時の検温と有効な健康コードの提示、勤務中のマスク着用が必須に。マカオ政府は職業群別に新型コロナウイルス核酸検査を順次実施しており、7月中旬にカジノの前線の職場に勤務するスタッフ数万人を対象とした検査が実施され、結果は全員が陰性だった。
仮に入境制限が緩和され、インバウンド旅客数が回復したとしても、カジノがニューノーマル下で営業している限り、テーブルを何重にも囲んでギャンブラーらが熱狂するシーンの再現は困難。かつての賑わいを取り戻し、売上が元の水準に復調するには、カジノ内における防疫措置の緩和も必要不可欠だ。現時点では誰も予想はできないが、それが可能となる日まで、万策を尽くして持ち堪えるしかない。
歳入のおよそ8割をカジノ税収が占めるマカオ政府にとって、そのベースとなるカジノ売上の低迷は死活問題。幸い、これまでに歳出の5年分以上の財政準備を貯め込んでおり、乗り切ることができそうだ。同時に、カジノ産業への過度な依存から脱却する好機と捉え、経済の適度な多元化を図る動きを加速させている。さらに、コロナ封じ込めに成功したニューノーマルの実践経験を活かし、国際観光都市として「防疫環境(健康・安全)」を全面に押し出した誘客プロモーションを展開する準備を進めるなど、ウィズコロナ時代、さらには終息後を見据えた準備も着々と進められている。
ニューノーマル下で営業を続けているマカオのカジノIR群(マカオ・コタイ地区にて筆者撮影)
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/
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